不安だった都市部からの移住。見つけたのは、安心感ある人とのつながり
バスケットボールコート・併設カフェ管理人 大内 舞さん
- 移住エリア
- 愛知県内→愛知県豊川市
- 移住年
- 2020年
写真:笑顔でお店に立ち、お客さんを迎える大内さん
東名高速道路豊川インターチェンジを下りて車で10分ほど、畑に囲まれた場所に大きなバスケットボール選手の壁画が描かれた建物が現れました。隣のバスケットボールコートでは、子どもたちが楽しそうにボールを追っています。コート脇のカフェでコーヒーを淹れているのは名古屋市内から移住してきた大内舞さんです。移住前は、「都会から地方へ行くと大変だよ」と言われて不安もありましたが、「安心できる人のつながりがあり、楽しく暮らせています」と教えてくれました。
目次
「人が楽しく集う場所を作りたい!」 イタリアで見つけたやりたいこと
もともと学校の先生になろうと名古屋市内の大学に進学した大内さん。しかし指導者として教員になるイメージを思い描けず、2年次で中退し、イタリア・フィレンツェへの半年間の留学へ旅立ちます。豊かな食文化を持つ美食の国で心に残ったのは、現地で「バール」と呼ばれるお店が地域で果たす役割でした。
「バール」とはカフェとバーを合わせたようなお店で、朝から夜まで開いています。大内さんが気づいたのは、お店がただおいしい飲み物を提供するだけではなく、おばあちゃんが集まって編み物をしていたり、仕事終わりの人たちがお酒を飲んだりと、地域に欠かせない「人々を繋ぐ場」になっていることでした。「日本でもバールみたいな場所を作りたい」と思い、帰国後は名古屋市内のカフェで働き始めます。

初めて来た時は空が広く、気持ちの良い場所だなと感じました」と話す大内さん
カフェ経営のノウハウを学び、新しい職場へ
アルバイトから始めたカフェでは社員から店長まで経験し、カフェ経営について学びました。その頃出会ったのが店の常連客でもあり、地元のラジオ局のナビゲーターだった小林拓一郎さんでした。大内さんは、豊川市で小林さんが新たにオープンに向けて取り組んでいたバスケットボールコートと併設のカフェの管理人に誘われます。「子どもたちのために、無料で自由に使えるコートを作りたい」という小林さんの思いに共感し、転職を決めました。
さらに同時期、小林さんがオーナーの名古屋市内のカフェの経営にも関わることとなり、豊川市と名古屋市、二つの職場を掛け持ちすることになりました。そして、週の大半は豊川市にいることから、豊川市へ移住することに。名古屋のカフェから豊川の職場へは、高速を使って1時間ほど。初めて豊川インターチェンジから降りて街を走った時の第一印象は、「高いビルがなくて、空が広いな」だったそうです。青空の下、遠くには山並みが見え、気持ち良さを感じました。
住まいは、知り合いを通じ、お店から車で10分ほどのアパートを見つけました。名古屋と同じ大きさでも家賃は7割くらいで、安さに驚いたそうです。

畑に囲まれた場所にあるバスケットボールコートと併設カフェが大内さんの職場
移住して見つけた安心感のある人とのつながり
移住前、周りからは「都会から地方へ行くと大変だよ」「派閥があったり、外から来た人には厳しいよ」と心配されていた大内さんですが、移住後の人間関係で大変さを感じたことはないそうです。自分から積極的に「この辺においしい店はありますか」と聞いたり、コートの利用者と周辺のゴミ拾いをしたりなど、顔が見える関係を築くようにしました。市内には若い人が新しく始めた飲食店や、豊川市出身の人がUターンして始めたお店などもあり、「外から来た人でも居心地がよく、受け入れてくれる環境だな」と感じています。
特に移住して良かったと感じるのは、地域の人とのつながりです。大雨で水位が上がって自分の車の運転が不安だった時も隣の会社の人が車を出してくれ、心細さを感じることはありませんでした。
「ここでは、こんな風に困ったらあの人を頼ろう、あの人なら助けてくれそう、とピンポイントで人の顔が浮かぶんです。そんな濃い関係が過干渉だと感じる人もいるかもしれないけれど、自分には合っていて心地よいです」
と話します。
「移住して、人と人のつながりの大切さに気付くことができました。都会から来る側も必要以上に不安を感じるのではなく、来て分からないことは素直に教えてほしいと言えば、助けてくれる人は多いです」
と教えてくれました。

バスケットボールコートの周年イベントで菓子まきをする大内さん
地域の子どもを見守り、重ねる夢
2025年4月には名古屋市のお店が閉店し、職場は豊川市だけになったため、以前よりゆったりと生活しています。体を動かすことも好きなので、休日は市内にある標高789mの本宮山に登るなど、自然の中でのリフレッシュも楽しんでいるそうです。
無料で使えるコートには今日も、自転車で市内外から子どもたちが集まります。オープンした5年前、小学生だった子は今では中学生になりました。
「いつかこのコートからプロのバスケットボール選手が巣立ってくれたら。でもバスケットボール選手じゃなくてもいいです。どんな子でも夢をかなえる姿を見ていきたいですね」
地域の一員として子どもたちの成長を見守ることに喜びを感じながら、大内さんは今日もお店に立っています。

市内にある本宮山。頂上までは参道を3~5時間ほど登る

バスケットボールコート・併設カフェ管理人 大内 舞さん / おおうち まい
1989年名古屋市中村区生まれ。20歳の時にイタリアに半年間、語学留学。帰国後、名古屋市内のカフェでアルバイトから店長まで経験し、カフェ経営について学ぶ。30歳の時に豊川市に新しくできる誰でも無料で使えるバスケットボールコートと併設のカフェの管理人として誘われ、豊川市に移住。
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Grape Park Court(グレープパークコート)