徳島発の”小規模特認校” 吉井小学校を見学してきました
毎年恒例の徳島出張をレポート!
第4回目は、R8年度から小規模特認校としてスタートする「吉井小学校(阿南市)」です
徳島起業の強い味方!サポート団体勢ぞろいの複合ビルに行ってきましたvol.1~徳島県信用保証協会編~
vol.2~とくしま産業振興機構~
vol.3~徳島県事業承継・引継ぎ支援センター編~
小規模特認校とは?
「小規模特認校制度」は学校選択制の一つで、従来の通学区域を残したまま、市内全域から就学を認める制度です。国や県教育委員会の認可は必要なく、校区を決める裁量をもつ市町村教育委員会の判断で導入することができる制度です。(阿南市HPより)
徳島県では、令和8年度に初めて小規模特認校制度を吉井小に導入します。
12月中旬、阿南市移住コーディネーターの笠谷さんと共に吉井小学校を見学させていただきました。
阿南市の中でも中山間エリアに位置する吉井小学校。JR阿南駅から車で約20分、路線バスだと約40分で到着します。
この日はあいにくの曇り空でしたが、緑いっぱいの山が視界に広がり、清流四国一に選ばれた那賀川が校舎裏に流れる、自然豊かなエリアです。
吉井小と言えば「探究学習」
いよいよ始まる「小規模特認校」制度。吉井小学校ならではの特色とは一体何なのでしょうか。
鎌田校長に伺うと、『やっぱり一人一人の問い(問題意識)から始まる探究学習ですね』と一言。
鎌田校長『吉井小の探究学習は“自ら考えて、主体的に行動できる子どもを育てる”がテーマ。
ある児童は“花が開いて葉が出始めたアサガオをもう一度植えたらどうなるんだろう”と疑問を抱き、クラスメイトと一緒に鉢へ植え直しました。その結果がどうなるのか、大人達もわからない。教師も児童も結果までの追究プロセスを楽しみます』
アサガオを植えた時の様子はこちらから視聴できます
▼【特集されました】児童が主役の公立小学校で”小規模特認校制度”がスタートします
https://www.furusato-web.jp/topics/p245790/
この日、ちょうど3年生の児童が探究学習の一環で近隣のいちご農家を訪れていました。
学校の玄関を出て1分ほどでビニールハウスに到着。ほんのり暖かいハウスの中で熱心にメモを取っている児童たち。農家さんは児童の質問にひとつひとつ丁寧に答えます。

「いつからいちごを作ってますか?」
「50年前から」
「俺たちより年上やん!」
時折笑いが起こりながらも、農家さんの話に耳を傾け、しっかりと質問していた姿が印象的でした。ちなみにこの日は校区外から体験入学中の児童も加わっていたそうです。
興味と疑問を引き出す“縦割り活動”
吉井小の特色である探究学習。児童の“知りたい”“気になる”を引き出すきっかけとして、朝に行う縦割り活動にも力を入れています。
鎌田校長『この縦割り活動を7つのジャンルに分けて、それぞれ”○○デー”と名付けています。例えば”アグリデー”は、近隣の農家さんから借りている畑で野菜を育てます。この品目を決めるのも児童です。畑の看板も、彼らが自発的に作ったんです』
―「さっき探究学習を見学させてもらいましたが、農家さんから聞いたお話もアグリデーに活かされますね」
鎌田校長『農家さんの他にも現役の地域おこし協力隊、協力隊OBも手伝ってくれています』
―「あれ?OBの彼はもともと海の男だったはず…」
笠谷さん「本人も想定外だったみたいですよ。でも“楽しい”って言ってました」
①ミュージックデー ②サイエンスデー ③グローバルデー ④アクティブデー
⑤アートデー ⑥ユーモアデー ⑦アグリデー
鎌田校長『”グローバルデー”にもすだち農家さんが関わってくれているんですが、この農家さんの元には海外からボランティアがたくさんやって来るんです。児童もすっかりなじんで、海外ボランティアさんとタブレットを使いながらやりとりしています』
加茂谷すだちパーク
https://kamodani-sudachi.jp/
鎌田校長『大阪で行われた関西万博では、若杉山の辰砂(顔料等の原料となる鉱物)について英語を交えて解説しました。これも児童の「やりたい」という気持ちから始まったんです』
―「徳島新聞に載っていましたね。“そんなこともやるんだ!”と、記事を見てびっくりしました」
▼【動画】大阪・関西万博で阿南市の吉井小児童、展示中の「辰砂」を解説
https://youtu.be/UHjr5iJS59w?si=ENTrCLrenxKcBxw7
鎌田校長『この他にもミュージックデー、アクティブデー、ユーモアデー、サイエンスデーがあります。新しくアートデーも始まります。
縦割り班活動はきっかけの場です。この活動で多くの分野に触れ、探究学習で究めるという流れ。単なるイベントで終わらないように工夫しています』
探究学習を始めてからの変化
これらの学習・活動を始めてから、児童たちにも変化がありました。これまで受け身だった子も自発的になったそうです。少人数クラスだからこそ、一人ひとりが無理なく主体となれるのかもしれません。
保護者からも「頑張ってる姿を見れた」「子どもが主体だった」と好評とのこと。
日頃児童に寄り添う先生たちは、“失敗させないように”という意識から”失敗を気づきに変えて自分で考えるように”変わりました。正解を説明するのではなく、問いを引き出す指導を心がけています。
地域との深いつながり
吉井小学校が小規模特認校としてスタートするきっかけとなったのは阿南市の小中学校再編計画。少子化の影響を受けて、統廃合の計画が進められています。
その時、「吉井小を残してほしい」と声を上げたのは地域住民でした。
校区に含まれる加茂谷地区で移住者の受け入れを行っている山下さんは、その理由を『子どもがおらな寂しいもん』と話します。
―「山下さんが会長を務める“加茂谷げんきなまちづくり会”では、予てから就農移住を受け入れていますよね。今回も山下さんが市外移住者の受け入れを引き受けていると伺って、なるほど!と膝を打ちました」
山下さん『これまでは就農したい人を対象に移住を受け入れていたけど、なかなか人が集まらなくなりましたね。今は農業に限らず一般的な移住受け入れにも力を入れています』
鎌田校長『山下さんには空き家を探してもらったり、校区外から通う児童の送迎支援の確保に向けても取り組んでもらっています。
今月(2025年12月)には、本校で初めてのデュアルスクールの受け入れも始まります』
―「子どもに合った教育環境を求めて移住する“教育移住”は、徳島だと特にデュアルスクールをきっかけに広がりましたよね。
小規模特認校は条件が整えば市外から通うこともできるけど、校区内に住みたいと考える人も増えるかもしれない。友達と一緒に帰ったり、放課後に遊びに出かけるのは楽しいですもんね」
山下さん『私らが子どもの頃は、放課後に友達とバカなことをようけやりましたよ!今じゃできんことやけど…』
―「ここには書けませんね笑」
鎌田校長『地域との繋がりが深いので、世代や立場を超えた関りが増えると思います。”子どもにとって環境のいい、素敵な学校ってどこかないかな”と思ったら、気軽にお電話いただきたいです』
体験入学・転入受け入れに関するお問合せ
阿南市立吉井小学校
TEL:0884-25-0210
HP:https://school.e-tokushima.or.jp/es_yoshii/


