「仕事を変える」より、「暮らしを選ぶ」から始まった。徳島・那賀町で起業した藤本さんに話を聞いてみました
9月4日、東京・有楽町で開催する「地方移住×創業」をテーマにしたとくしま回帰×シゴトづくりセミナー。

登壇者の一人である藤本雪絵さんは、故郷での地域活動を軸に起業しました。
今回はセミナーを前に、「知っておくと理解が深まる藤本さんのこれまで」を、少しだけ聞いてみました。
一学年3人。小さな地域で育った子ども時代
藤本さんが育ったのは、徳島県南部の内陸の町・那賀町。
東京23区ほどの広大な面積ですが、生まれる子どもの数が年間一桁の年もある過疎地域。現在、町内にある小学校は3校のみです。
そんな那賀町で育った藤本さんの小学生当時の同級生はわずか2人。
授業では、定められている授業時数よりも3人が理解する方が早く、先生が困ってしまうことも。
放課後になると、男子は野球、女子はバドミントンと、全校生徒のほとんどがスポーツ少年団の活動に励み、学外・町外にも友人がたくさんできました。
やがて町内の高校を卒業した藤本さんが大学進学を機に向かったのは広島県。その後、一度は那賀町へUターンしますが、結婚を機に再び広島へ。高校教員として働き始めました。
「どんな仕事をするか」より、「どう暮らしたいか」
幼少期より教員になることが夢だった藤本さん。「子どもたちと地域を繋ぐ仕事をしたい」と思い、当時知っている限りの職業の中で、実現できそうなものが教員でした。
教員時代は生徒らと共に、町内会活動へも積極的に出かけていました。それでも、自分自身のプライベートも含めた、これからを考える中で、少しずつ価値観が変わり始めます。
「自分に子どもができたら、わが子との時間は作れるのだろうか。近所のおばちゃんたちと他愛ない関係性を築いたり、季節を地域行事や自然の風景から感じられたりする環境で暮らせないだろうか、と思うようになりました」
そこで夫婦が選んだのは、藤本さんの故郷・那賀町へのUターン。
「幼少期は『普通の田舎』に住んでいるというくらいの感覚でしたが、大人になって、他の自治体を訪問してみて、那賀町は『レベル高めの田舎』であることに気が付きました。」と笑います。
決して仕事がたくさんあるから選んだ場所ではありません。
先に欲しい暮らしを決めて、その暮らしに合う仕事をつくる。
その理想を叶える選択肢として出会ったのが「地域おこし協力隊制度」でした。
-地域おこし協力隊とは?-
地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。(総務省HPより引用)
築約70年の古民家を、一棟貸しの宿へ
藤本さんが協力隊として取り組んだのは、「民泊事業」。県が主催する起業塾などで事業について学び、支援制度に加えて融資も利用しながら、現在は一棟貸しの宿「イツキ邸」を運営しています。
訪れるのは台湾や韓国、関東・関西圏の方が多く、最近では徳島県内の方も那賀町滞在の拠点として、利用されています。
「宿を始めてよかったなと思うのは、わが子(4歳)と相談して、試行錯誤しながら運営できること」
自身も子育て中だからこそ、家族旅行で「あったらうれしい」と思うものを考えられるのも強みのひとつ。
ともにアイデアを出して話し合ったり、一緒に掃除をしたり。本人にとっては「お手伝い」かもしれませんが、母としてはこっそりキャリア教育中とのこと。
実は藤本さん、かつて“人力車を使った観光案内業(俥夫)”に従事していたこともあり、那賀町に数多くある寺社仏閣等のローカルガイドもできる宿を目指しています。
地方での起業は、「仕事」だけをつくることではない
現在は、廃校となった母校で「ひらの図書室」も運営しています。
普段は地域の私設図書室として開かれていますが、町内外の子どもたちの課外授業の場所としても使用されています。ワークショップを開催したり、ただただ話を聞いてみたり。子どもだけでなく大人の居場所や交流場所としても機能しています。時には図書室を飛び出して、藤本さん自身が出前授業に赴くことも。
宿、図書室、地域での仕事、そして家族との暮らし。
すべてがきれいに一本の線になっているわけではありません。収入や時間、地域との関係など、地方で事業を続けるために考えることもあります。
「私にとって起業は、仕事と暮らしを分けるのではなく、どちらも楽しみながら、自分らしく暮らしていくための手段です。」
―「レベル高めの田舎」って?
―地方へ移住したら、どんな仕事がある?
―起業したら、本当に食べていける?
―子育てと仕事はどう両立する?
そんな「きれいな移住ストーリーだけでは分からないこと」も、9月4日のセミナーではお話しします。
これからの仕事だけではなく、これからの暮らしを考えている方へ。
徳島で暮らし、働くという選択肢を、一緒にのぞいてみませんか。
▼とくしま回帰×シゴトづくりセミナーを主催する徳島県信用保証協会へ行ってきました

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