「そこにいる理由」― 大阪から三重県亀山市へ移住。結婚を機に見つけた新しい暮らし
陶器メーカー勤務(ECサイト運営) 稲本 夏海さん
- 移住エリア
- 東京都→三重県亀山市
- 移住年
- 2025年
大阪で生まれ育ち、東京で働いていた稲本さん。結婚をきっかけに、夫のふるさとである三重県亀山市への移住を決めました。移住の相談先探しや仕事探しに悩みながらも、一つひとつ不安を解消し、新しい暮らしをスタート。家賃半分・広さ2倍の住まい、自然豊かな風景、そして地域の人とのささやかなつながりのなかで、自分らしい「余白のある暮らし」を見つけています。今回は、結婚を機に移住した稲本さんに、移住までの道のりや現在の暮らしについて伺いました。
移住までの簡単な経緯
- 2024年…情報収集を始める
- 2024年7月…ふるさと回帰支援センターでメール相談
- 2024年8月…センターで対面相談
- 2025年5月…三重県亀山市へ移住
目次
移住までの流れ
「うちの暮らしってジェンガみたいやな。ある日突然部屋ごとなくなっても、まわりは気づかんのやろな」。小学生のころの想像が、今もずっと残っています。うちの実家は、大阪市内にあるマンション。サラリーマン家庭で育ちました。うっすらと「そこにいる理由」のある人生に憧れて、大学では農業を学びました。
東京で働きはじめて、同僚になった稲本くん。亀山に実家があり、家業を継ぐ可能性がある人でした。付き合いはじめるときに、ありのままを話してくれたことがあります。それで、いよいよ結婚を考えたときに、二人で亀山を訪れました。「あ、なんかいい場所だな」と思ったんです。

東海道「関宿」のまちなみ
大変だったこと
「結婚相手のふるさとに帰るのって移住?」「誰に相談したらいいんだろう」と、漠然とした不安がありました。車は一人一台必要らしいし、住む家はどうするのか。お金が気になりつつも「自分たちが使える制度はある?」とぐるぐる考えていたとき、ふるさと回帰支援センターを知りました。三重県相談員の清水さんに問い合わせて対面相談をしたことで、亀山市役所の森さんを紹介してもらいました。
受け入れ担当者について
2025年に移住した当時は、森さんとは移住支援金の申請に関するやりとりが中心でした。でも、今回のインタビューがきっかけでいくつも共通点が見つかって。いろいろな縁が広がっていきそうです!

森さん(左)
仕事について
前職では、インタビュー記事を通して日本各地の求人を紹介していました。でも、いざ自分が移住するとなると、仕事探しは難しい。求人サイトも見るなかで「どこで働きたいか、わたしは人と話さんと判断できんな」と友人に紹介してもらったのが、萬古焼の窯元でした。もともとは物流系の求人が出ていましたが、直接社長と話すなかで「せっかくなら経験を活かさない?」と声をかけてもらい、ECサイトを運営するように。ちなみに勤務形態は週4日のパートを選びました。生き方に余白を持ちたくて。
移住後の暮らし
今は集合住宅に住んでいます。東京と比べると「家賃半分、面積2倍」で、心にもゆとりが生まれたかな。家の広さって大事!ちょっと歩くと鈴鹿山脈が見えます。山も、人の手できれいにされすぎてない緑も、日々目に映るものが自分にとってプラスなことが多いです。

高校の同級生の寄せ書き、前職でつながりの生まれた靴(上段左、右)/同僚からの贈りもの(下段)
地域との関わり
集合住宅に住んでいると、密なご近所付き合いはなくて、東京と変わりません。ただ、外を歩いてると、すれ違いざまに小中学生が「こんにちは」とあいさつしてくれます。大人に信頼を置いてくれているんだな、そういう信頼関係がしっかり育まれてきた場所なんだなと感じます。だから、顔の見えるつながりと呼べるものはこれからですけど、「こんにちは」といえる関係があるだけでも、ここで暮らせてうれしいなと思います。
移住支援者の視点から――亀山市役所 森 ゆり佳さん

夏海さんが亀山に来てくださって、本当にうれしいです。今日お話を聞いて共感できることが多く、何度もうなずいていました。わたしは隣の津市出身ですが、亀山の美しい空や豊かな緑、人との居心地よい距離感が大好きです。
学生時代に市が実施する子どもの自然学習に参加したことがきっかけで市役所に入り、駅周辺整備等に携わったのち、2025年から移住担当になりました。だから、夏海さんはわたしにとって移住者さん第一号!
いま亀山市では、寄附いただいた空き家を活用して“みんなの土間” をつくる活動をしています。土間は、外と中をゆるやかにつなぐ場所。市内・市外の人、それぞれが居心地のよい交流の場を目指しています。集まった人の発想を即興でかたちにしていく、ワクワクする取り組みです。
わたしは、人と関わることが好きです。場所自体も大事ですが、「あの人がいるから、また行きたいな」と思うことが多いので、このまちでも、そんなあったかい交流や移住の輪が広がっていったら一番うれしいと思います。
(※このインタビューは公益社団法人 ふるさと回帰・移住交流推進機構が発行する情報誌「100万人のふるさと」2026年秋号の内容をWEB用に一部再構成したものです)

陶器メーカー勤務(ECサイト運営) 稲本 夏海さん / いなもと なつみ
30代、大阪府出身。大学在学中に緑のふるさと協力隊に参加し、高知県大川村で1年間暮らす。卒業後は就職のため上京。人材業界でインタビューライター・広報担当として働いたのち、移住。