車なしで『田舎暮らし』『地方ぐらし』はありえるのか③ ~確認しておきたいポイント~ 《つぶやきコラム》

ここまで読んでいただいた方には、お分かりいただけると思いますが、筆者は次のように考えています。
★車の要不要は自分自身の生活スタイルによって変わる。
★車なしで生活できるかどうかは人の話だけで判断することはおすすめできない。
★自分の生活イメージを確認して、自分で判断するプロセスが必要。
そこで、判断の材料として、以下に確認しておきたいポイントを挙げてみます。
ご注意:個人の主観による意見が多分に含まれます。あらかじめご承知おきください。
ポイント①:自分(家族)の行動範囲、生活スタイルに必要なことを確認
たとえば、
・【自転車移動を想定している方は】季節や天候(雨・風・雪)、地形(山坂)も含めて自転車移動でOKか?
・【バス移動を考えている方は】、バス停のない場所へ行く必要はないか? 運行本数は大丈夫か?
・【地方・田舎暮らしを楽しみたい方は】あちこち行きたくならないか?
・【海、山が近いのが好きな方は】それを楽しむための移動方法があるか?
・【畑をやりたい方、DIYしたい方は】大きな荷物や資材・たくさんの物などを自力で運ぶ必要はないか?
※ホームセンター等では免許があれば購入したものを運ぶ軽トラが借りられるかも?
・【農地付きの家や、農山村等に住みたい方は】地域コミュニティで助け合いながらの生活が不可欠ですが、その環境で車なしでOKと思えるか?
・【子育てを自然の中でしたい方は】車なしにこだわると、結果的に市街地に住むことにならないか?
・【いろいろ必要だと思う方は】逆に今必要と思っている社会資源は本当に「ないと生活できない」ものなのか?
上記の確認をする際に、自分が今まで持っていた『常識』や『考え方』のようなものもちょっと見直してみるのもありかもしれません。
・【本当に】車は移住する時点で絶対ないと暮らせない?
・【本当に】私は車は絶対運転できない?
・【本当に】車を所有すると家計を圧迫して困る?
・【本当に】住みたい場所はどんなところ?
・【本当に】希望の生活のためには移住が必要?
こういった点を検討すると、車が必要と思うかもしれませんし、やはり車なしで生活できると思うかもしれません。
ポイント②:現地に足を運ぶ(ネット情報や伝聞だけで判断しない)
とはいえ、ここはネット上ですので、若干自己矛盾ぽいですが…ネットでの情報収集やシミュレーションだけでなく、現地に足を運んで確認することは非常に大事です。
ネットは便利ですが、やはり百聞は一見に如かずです。
実際に候補地とお考えの場所に行ってみると、自分の感覚で色々見えることがあります。
自分が「ここで生活する」というイメージで動いて、見てみてください。
生活者視点と観光客視点では見えるものもかなり違います。
例えば、都市部でも生活の足に自転車を想定している場合や山坂の歩きが苦手な人にはあまり向かないアップダウンの激しいエリアもあります。
逆に世間では田舎といわれがちな地域でも車なしでの生活を実現しやすいエリアもあります。
移住相談窓口などで、もし、車なしで生活しておられる方のお話しや事例が聞ける機会があれば是非聞いてみてください。生の声は大事だと思います。
その他の注意点として、一部地域では、タクシーの台数が少ない、タクシー会社が遠い、観光地近くでタクシーの利用者が多く供給不足など地域事情がある場合もあります。タクシー利用を考えている方は注意です。移住窓口や地元の方に確認できる場合は確認してみてください。
一方で、(車を運転する方向けですが)、お酒を飲む場合などのために『運転代行サービス』が充実していて、「皆さんそれぞれお抱え?の代行さんがいますよ~」なんていう話も耳にすることがあります。
お酒飲めないから車は嫌という方には、意外と良い情報?かもしれません。
現地で生きた情報をもらって、直接自分の目で確認することは納得感にもつながりますので、是非足を運んでください。
★あくまでも例ですが、具体的に地域へ足を運ぶ方法としてこちらの記事(拙稿ですが)を紹介しておきます。
ポイント③:「自治体名」「場所のイメージ」で先入観を持たない
時々耳にする、○○市だから、車がなくても…
路線図を見て、電車走ってますよね…
その発想、危険です!
『東京』にも離島や村があります。
『離島』にも中心市街(や都市)があったりします。
『村』でも賑やかな住宅地や中心街があるケースがあります。
『鉄道路線』はあっても自分の生活にはあまり関係がないケースもあります。
以下、長くなりますがちょっと考えてみます。
■地方都市の場合:
ここではざっくり県庁所在地程度(政令指定都市含む)~人口10万人程度までの、地域(エリア)の「中枢」「中核」「中心」機能を担っている市を「地方都市」と仮定します。
一定程度の人口規模がある街には、社会資源が集積している場所がある場合が多いです。
例えば、県庁所在地や大きめの市の中心街付近は大学や専門学校などがあったりしますが、学生さんの多くは車を持たないので、概ね、車なしでの生活は可能と推定できます。
しかし、名前を聞いたことがあるような大きな「地方都市」でも中心街から離れると事情が異なることも多く地域・エリア(ここでは○○市内の○○エリア、○○中学校区など、区市町村よりもっと小さい範囲を指します)によっては、周囲に商店や施設などはほとんどないケースも多々あります。
郊外の小規模開発された住宅地や都市近郊の農村エリア、合併で大きな市と一緒になった村・町だったエリア(の中心街以外)などは上記に該当するケースが多いです。
兵庫県の場合を例にすると、神戸市(人口約150万)、姫路市(人口約52万)、西宮市(人口約48万)など都市イメージが強く人口規模が大きい市でも、農村部、山間部、旧郡部などが市の中にあり、公共交通や商店などが充実しているとは言いにくい、車なし生活にはハードルが高い場所があります。
■小規模都市/農村/山村/漁村地域の場合:
多くの場合、車が必要です。がしかし、
小規模都市でも近隣エリア含めた地域の中心機能を担っていて、市街地部分に商店・病院等がそろっていたり、
合併前の旧町村の中心エリアだったために比較的生活インフラが集積していたり、
幹線道路のロードサイドにある新しい商業施設等集積地の近くだったり
などで、お店や施設が揃っているというケースもあります。
但し、上記のような場所は、足を延ばして別の町やエリアへ行こうとした時に、公共交通や自転車、徒歩ではカバーできない場合もありますので、その辺り気になる場合は下調べが必要かもしれません。
上記を総合すると、「○○市だから車なしでも大丈夫」は大変危険ですし、
○○市・町・村は田舎だから絶対車がいるというのも誤解である場合があります。
車なしを検討されるならより解像度を上げる必要があるかと思われます。
そのためにはポイント②の「現地に足を運ぶ」ことが大事になってきます。
★ちなみに気を付けないといけない勘違い勝手にベスト3
・ネットで調べたから大体わかっている(私の経験的に一番ありがちで危ないやつです、そんなつもりはないけど実質ネット情報のみの方も)
・鉄道の本数がそこそこあるから大丈夫(都市生活が長い方、鉄道生活を普段している人は要注意。実際はあまり鉄道を使うシーンが多くない場合も)
・駅に近いから大丈夫(駅周辺に生活インフラがある場所はむしろ限られています、そもそも「田舎」では、普段、鉄道の駅で物事を考えていません)
続きは 車なしで『田舎暮らし』はありえるのか④~車あり、車なしの経済を考える~《つぶやきコラム》(未公開) で
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★脱線
ちなみに、地方都市の一部や比較的生活インフラが集積している場所は、モノや人があふれ過ぎていない、かつ必要なものは大体近くにある、ということで慣れると『生活の利便性という面では』快適だとおっしゃる方が少なくないように思います。
(車の有無や希望するライフスタイルとは関係ありませんが…)
《文責:移住アドバイザー近藤》