ほどよく都会と田舎が共存する地へ〜金沢にいるとキラキラする〜

金沢市地域おこし協力隊 小泉 麻衣さん
- 移住エリア
- 神奈川県→石川県金沢市
- 移住年
- 2025年
「金沢にいる時が一番落ち着くんです」。小泉麻衣さんは、2025年4月、地域おこし協力隊員として石川県金沢市に採用された。日本各地で暮らした経験や、海外での生活も体験した小泉さんが最終的に選んだのは金沢市だった。「知られていない北陸の魅力を伝えたい」と語る小泉さんの移住ストーリーとは。
新幹線開通を機に金沢へ
生まれは富山市。父親が転勤族だったので、3歳から7歳まで岡山県で暮らし、千葉県船橋市に移った後、高校時代はドイツのデュッセルドルフで暮らした。学生時代は、船橋市から都内の大学に通っていた。
大学を卒業して、「いざ就職」となった時、都会に住みたいとは思わなかった。ドイツで知り合った外国人は、日本に何回も観光に来て、東京、大阪以外では仙台、沖縄には行ったというが、北陸に行ったという人がいなかった。北陸新幹線の長野-金沢間が2015年に開通したこともあって、「北陸って面白そう」と、金沢の商業施設開発の会社に就職した。
就職して8年、途中1年半の大阪暮らしがあったが、金沢の暮らしに満足だった。
2023年12月、東京都のやはり商業施設開発の会社に転職した。しかし、「自分には金沢の方が合っている」と感じた。
ふるさと回帰支援センターの移住フェアに行って、金沢市が地域おこし協力隊員(移住相談員)を募集していることを知った。「これだ」と早速応募した。2025年4月に着任。本格的な仕事はこれからだ。

秋の兼六園
自分がキラキラする街
「金沢にいると、自分がキラキラする感じがする」と小泉さん。
金沢には、加賀前田家百万石の金沢城、「日本三名園」に挙げられる兼六園がある。江戸時代の武家屋敷も残っている。さらに最近は、世界的な建築家のSANAA(妹島和世氏と西沢立衛氏の共同事務所)が設計した金沢21世紀美術館や、広大な空間を持つ石川県立図書館が評判になって、全国から見学者が集まっている。
日本の県庁所在地の多くは、城下町。大都会になった東京・大阪を除けば、最大の城下町は名古屋。金沢は人口45万人で政令指定都市ではないが、世界遺産の白鷺城がある兵庫県姫路市に比肩する堂々とした城下町だ。
「東京や大阪のような大都会ではありません。かといって田舎でもなく、金沢はその中間のちょうどいい感じなんです。中心部はにぎやかですが、郊外に出ると落ち着いている。そのバランスが絶妙です」という。
北陸の魅力を発信したい
地域おこし協力隊としての仕事は、移住相談に来る人に、金沢市が用意している支援制度を説明したり、市内をアテンドして回ることだ。
羽田空港で仕事をしていたこともあるし、ヨーロッパやオーストラリアにも旅行し、いろんな土地の魅力を知っている。そうした経験を踏まえながら、小泉さんの抱負は「北陸全体の魅力を発信したい」。
小泉さんの趣味はドライブ。石川県には、羽咋市に「千里浜なぎさドライブウェイ」という全国でも唯一の総延長8キロの砂浜を走れる道路がある。悪天候でない限りは年中走行可能だ。片方に日本海を眺めながら疾走する気分は爽快だ。小泉さんの大好きな場所だ。
石川県だけではなく隣県の富山県、福井県には素晴らしい観光地がたくさんある。山では立山連峰、白山。海の方には能登や福井の東尋坊もある。

千里浜なぎさドライブウェイ
もう一つはグルメ。日本海で獲れる甘エビやカニは絶品。11月になると、カニ漁が解禁される。その時期になるとソワソワするという小泉さん。辛党に広く知られた日本酒のブランドもたくさんある。
金沢は、名古屋や島根県松江市と並ぶ和菓子の銘品が揃っている都市だ。城下町なので江戸時代に茶道に励む人も多かった。小泉さんは、「以前は苦手だったあんこを、本場のおいしさを知り、食べられるようになった」という。その上で「北陸の魅力はもっともっと知られていいと思う」と話した。
地域おこし協力隊の任期は3年。当面は、移住者対応に専念するが、仕事を通して、地方で暮らすことの魅力をアピールしていきたいという。
(※このインタビューはふるさと回帰支援センター発行の情報誌「100万人のふるさと」2025初夏号の内容をWEB用に一部再構成したものです)

金沢市地域おこし協力隊 小泉 麻衣さん / こいずみ まい
転勤族の父のもと、富山、岡山、千葉で過ごし高校時代はドイツで暮らす。大学卒業後、金沢の商業施設開発の企業に就職。東京都の企業に転職するも、「金沢での生活に戻りたい」と2025年4月から、金沢市の地域おこし協力隊として着任。移住相談員として、金沢の暮らしの魅力を伝える。