【前編】広島はなぜ「強い」? Vol.1「これからは田舎と未来が融合する!」 |地域のトピックス|FURUSATO

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【前編】広島はなぜ「強い」? Vol.1
「これからは田舎と未来が融合する!」

【前編】広島はなぜ「強い」? Vol.1<br>「これからは田舎と未来が融合する!」 | 地域のトピックス

中国山地と瀬戸内、そしてものづくりがあるまち。

広島の魅力って、なんでしょうか。
それはズバリ、「強さ」だと思うのです。

中国山地と瀬戸内海があって、自然が豊か。お米に野菜、果実から畜産物、牡蠣に代表される水産物、さらにはワインに至るまで、食材も豊富だから、なにかあっても食べ物には困らない。
自動車や造船、精密機器、家具に至るまで製造業も盛んで、ものづくりもOK。なんでもつくれる。

もちろん、ほかの都道府県にも豊かな自然や産業はありますが、広島の場合は、高速道路網や鉄道網が充実していて、都市部から山や海へでも、自然豊かな「田舎」から街へでも、どちらでも1時間程度あれば行けてしまいます。いわば、日常の手の届く範囲に、便利な都市機能、自然や食べ物の生産地、ものづくりの現場などがあるのです。

イザ、というときにでも広島だったら生きていける。そんな気がして、「強さ」を感じるのだと思います(個人的には、SUPと呼ばれるスタンドアップ・パドルボードやクルーズを楽しめる穏やかな海もあれば、山間部にはスキー場まであることに、いつもすごさを感じています)。

2019年、移住希望地ランキングで2位に!

さて! 2019年、「ふるさと回帰支援センター」が来場者を対象に行ったアンケート結果で、広島県が移住希望地ランキングで2位になりました。年代別で見れば、20代以下で1位を獲得しています。東京にある「ふるさと回帰支援センター」でのアンケートで、少し距離感を感じる広島の2位はすごいことです(ちなみに1位は長野県、3位は静岡県)。

この報を聞き、広島の「強さ」を改めて感じるとともに、これまで広島で出会った人たちの顔が思い浮かびました。
そこでまた感じたこと。広島の「強さ」は自然や風土、ものづくりが生み出しているかもしれませんが、「魅力」そのものは人がつくり出している!

これから4回にわたり、広島の魅力の源泉のような8人を紹介していきます。しばらく、おつきあいをお願いします。
※なお、この一連の取材は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出される以前の3月末及び、4月1~2日に行いました。

私たちは、山があるから生きていける。

まずはじめに、広島人の魅力を紹介していく私・ライターの小西について簡単に紹介します。編集の仕事をしていて、3年ほど前に『ひろびろ ひろしま』という移住希望者向けの小冊子づくりを担当させていただきました。また、呉市の大崎上島・御手洗地区に移住した写真家のトム・宮川・コールトンさんと組み、こんなポスターの制作も担当しました。

海、街、山、すべてがバランスよく揃い、広く、大きな視野でこれからの暮らし方、働き方を考えられるのが広島の魅力です

そんなわけで、広島の方には数多くお目にかかっているのですが、トップバッターで紹介したいのはこの方。東広島市福富町で木材業・木工品店『きこりや』を営む下永 速(はやし)さん。

「どこで写真を撮りましょう?」と尋ねたところ、「じゃあ、山口百恵さんといっしょに」と、事務所の一角に立ってくださった下永 速さん。とても気さくな方です。

父親の代からの山を受け継ぎ、「山師」の仕事をする下永さんですが、移住者と地域をつなぐキーパーソンでもあります。

下永さんは山のことを「山は無限。空気をつくり、水をきれいにして川に流してくれます。里でおいしい野菜や米ができるのも、山のおかげ。春にはコシアブラとか、季節ならではのおいしい山菜もいっぱい採れるし、それを街の一流シェフのレストランに送っておけば、次に行ったときに最高の料理を食べさせてくれます(笑)」と、いつも楽しそうに話してくれます。

これからは、道路も不要に? 田舎の優位性とは。

下永さんは常々、こんなことも話されます。

「地球は、僕らの仮住まい。人間は、自然からいろんなものを借りて生きているだけなんです。人間らしく生きたいなら、田舎が一番ですよ。やろうと思えば、自給自足もできるし、山の仕事も農家の仕事も、いくらでも仕事はありますよ」。

そんな哲学を持つ下永さん。これからは「地方の時代になる」と断言します。

「田舎と未来は融合していきますよ。ドローンが普及すれば、道路も必要なくなります。冷凍技術も進歩しているので、旬のものは旬においしく食べて、その残りを冷凍しておけば安定供給もできます。土地はいっぱいあるから、ドローンの基地や冷凍倉庫ならいくらでもつくれますよ」。

下永さんは今、フードコーディネーターのような仕事をしてくれる人に福富町へ来てほしいそうです。あまりに食材が豊かで、水もおいしいので、それを楽しくアイデアいっぱいに活かしてほしいのだとか。

福富町には、油絵作家とレザー作家の夫妻が営む素敵な雑貨店があったり、大地の恵みと畑の生命力をそのまま凝縮したような天然酵母のパンが買えたり、ランチを楽しめるパン工房、併設の売店やレストランで極上ジェラートを味わえる牧場もあります。
新型コロナウイルスが収束した後には、ぜひおいしいものを食べに福富町へ行ってみてください。

間伐した木材でも、カンナ屑でも、木はすべてなにかに使える。たとえばカンナ屑は、大学の馬術部の馬場の床に敷かれるそう。「山の仕事はいくらでもありますよ」と、下永さんはいつも言います。

後編では「老舗料亭のようなお弁当をつくる福祉作業所」についてご紹介します!

<ライター:小西威史(パカノラ編集処)>