移住ストーリー

地域の人たちとの縁を大事に陶器の町で、古民家和食カフェをオープン

東京都→佐賀県有田町
2018年移住
鈴木 愛子・達男さん
カフェ「kasane」経営

鈴木愛子さんと達男さんは2015年に結婚。新たな地で和食カフェを開業する夢を持ち、2018年に佐賀県有田町に移住しました。有田町の素敵な人との出会いからカフェ「kasane(かさね)」をオープンしました。

愛子さんと佐賀県の出会い

福岡県出身の愛子さんは大学卒業後、佐賀県のNBCラジオに就職。ラジオカー「スキッピー」に乗り、レポーターとして県内の地域情報を伝える仕事をしていました。
地元の方に出会える仕事にやりがいを感じていましたが、「東京で新たなことに挑戦したい」と思い上京。ラジオ番組に出る傍ら勤めていたアルバイト先の和食店で達男さんと出会いました。

愛子さんは充実した生活を送りながらも、佐賀への想いは強く、「離れてからも、いつか大好きな佐賀の役に立つことができれば」という想いがあったそうです。

スキッピーのリポーター時代。笑顔は今も健在

有田町への想いと二段階移住

東京で飲食店を任されていた達男さんは多忙を極めていました。お店は繁盛し充実していましたが、好きな本をゆっくり読んだり、遠出したりと、プライベートを楽しむゆとりはありませんでした。
独立を考えるようになった達男さんと話し合い、愛子さんはふるさと回帰支援センターの佐賀県窓口で相談することに。佐賀への移住を形にしていきました。

二人が大切にしていたのは「お店の開業」「器が好き」「人とのつながり」ということでした。愛子さんは以前から有田焼に興味があり、達男さんは飲食店に携わるうちに、料理を並べる器にも興味を持ちました。

お互いの実現したいことをかなえる場所、有田町と出会います。

有田町は全国的に有名な陶器の産地であり、歴史ある街並みが残っています。一方で、そういった伝統的な町が移住者を受け入れてくれるか愛子さんは心配でした。
その不安を払拭してくれたのが、当時、地域おこし協力隊で移住支援をしていた佐々木元康さん。佐々木さん自身も有田町へのUターン者で、愛子さんの気持ちを良く理解していました。

「佐々木さんをはじめ『町をもっと面白くしたい』と活動している方が何人もいて、その流れや動きが非常に魅力的でした。一緒にこの町で頑張りたい、というモチベーションになりました」

とはいえ、住居に加え店舗物件も決めなければならず、東京から直接有田町に移住するにはハードルが高いと判断。まずは2か月間、佐賀市で暮らしながら有田町に通い開業準備をする二段階移住を決めました。

移住の決め手となった大家さんとの出会い、理想の店舗づくり

佐々木さんの紹介などで、今の店の大家さんに出会えたことが移住の決め手となったそうです。

「協力してくれた佐々木さんのおかげだし、タイミングと縁も良かった」

物件は江戸時代末期に建てられ、伝統的建造物に指定されている築160年の建物。風合いを生かしたリノベーションを施し、ぜいたくな空間が出来上がりました。

「自分たちだけでは店舗づくりはできなかった」

大家さんにとって、鈴木夫妻は初めて紹介された移住者でしたが、ただ物件を貸すだけではなく、店舗づくりから親身になり協力してくれました。夫妻と一つのチームのように頑張ってくれたそうで、営業が始まってからも心強い存在でした。

夫の達男さんが移住して驚いたのは「大家さんはじめ地域の方がめちゃくちゃ良い人」ということ。

「人とのつながりの中で、支えられながら生きているという実感は、移住してから得られました」

と愛子さん。
地域の人に支えられ、縁を大事に出来上がった和食カフェを2018年4月にオープンしました。

オープニングパーティーには近所の方がたくさん集まった

地域の人の夢も一緒に育む「kasane」

「kasane」は地域の交流の場になり、有田町で文化を楽しむ場となりました。映画の上映や、料理とのコラボで器を魅力的に見せる会などを開催しています。
東京で評判だった達男さんの料理と、レポーターの経験で磨かれた愛子さんの接客はお店のインテリアと調和して、いつまでも滞在したくなる空間を作り出しています。

また、お店の一角には若手アーティストによるアクセサリーや小物をならべたり、窯業を学ぶ学生がデザインした器を使うイベントを開催したりするなど、 焼き物を生業にしたい人も応援しています。

「私たちがやりたいことを実現するのはもちろんですが、いろいろな人が挑戦したいことを叶えられる場になったら良いなと考えています」

若手アーティストの作品が並ぶ一角

夫妻にとっての「移住」と、これから

達男さんについて、愛子さんはこう話します。

「移住して開業してからも相変わらず、仕事優先のようですが、大好きなサッカーの生中継を観たり、読めなかった本を一気に読んだりと少し余裕が出てきているようです。これからは多くのことを夫と一緒に体験し、心や考え方が豊かで自由な人生を送りたい思います。夫にももっと今の暮らしを楽しんでもらいたいです」

西有田にある岳の棚田

開業後も達男さんは多様な器での盛り付けについて学び、料理の腕にも更なる磨きをかけています。
愛子さんはNBCラジオ佐賀のパーソナリティーに復帰し、水曜日の「ひるかラ!MIX」を担当。司会業やラジオ番組の出演で上京することもあります。佐賀県有田町ではそんなライフスタイルも実現できるそうです。

「私たちは移住して飲食店をオープンするという明確な目的があったので暮らし方も決めやすく、周りの方にとっても具体的な手助けがしやすかったのではないでしょうか。『この町でこんなことがやりたい』とお話しできるのは名刺代わりだったように思います」

最後に、移住を考えている方へメッセージをいただきました。

「移住して何をしたいのか、この地域にどう関わっていきたいのか、考えておくと地域に溶け込みやすいかなと思います。とはいえ、住んでみないと分からないこともありますので、あまり凝り固まらずに教えてもらいながら、取り込んでいく柔軟さもあると良いのでは。タイミングや縁も大事だと思うので、長く情報を調べたり考えたりするよりも、相談だけでもしてみるとか、旅行で行ってみるとか、移住体験住宅に申し込むとか、思い立ったら少しでも行動に移した方がいいかもしれません」

人とのつながりや縁を大事にしている鈴木さんご夫妻。これからも有田町を盛り上げてくれそうです。