移住ストーリー

節目と思った25歳。自分が本当にしたいことを問い直し、憧れの奈良へ移住

東京都→奈良県橿原市
2019年
渡辺 花菜絵さん
奥大和移住定住交流センター「engawa」、オンラインショップ「ならわし narawashi」運営

大企業のキャリアレールから外れて自分の好きな道を開拓したいと、25歳の時に奈良県に移住・転職した渡辺さん。将来、自分で事業を切り盛りできるスキルを身に着けるため、日々修業中!人とのつながりを通して、夢の実現に向かって進んでいます。

「いつか奈良に住みたい」を実現

小さい頃からお寺や仏像など、日本の歴史、芸術、文化が好きでした。中学の修学旅行で初めて奈良を訪れてから、大好きになり何度も通うように。大学では美術史を専攻し、主に仏像の勉強をしながら奈良に長期滞在する機会も増えました。東京の大学を卒業後は、日本の作家や職人の美術品や作品を扱うことのできる百貨店に総合職として就職しました。しかし働いて少し経つと大企業ならではの決められたキャリアステップに沿っていくのが、だんだん息苦しく感じるように。

自分が本当にしたいこと、行きたい場所はと、問い直したとき、いつか奈良に住みたいという夢に気づき、だったら。老後の「いつか」ではなく、失うものもない若いうちに、企業のキャリアのレールからはずれて、自ら人生を開拓していこうと決めて、25歳で奈良に移住しました。

移住者向けの情報発信を仕事に

今は、奈良県の東部、中南部の19市町村を総称して「奥大和」と呼ばれるエリアの情報発信をしたり、「奥大和移住定住交流センター engawa」の運営に携わっています。移住にあたり、奈良の良いところを伝える仕事をしたくて、メディアや編集などに携われる会社を探しましたが、タイミングが合わなくて。諦めずにSNSや会う人会う人に「奈良に移住したい」と言っていたので、それを見た人づてに理想的な会社を紹介してもらい、人のつながりで仕事が見つかりました。

いまは橿原市にある「engawa」という施設で、木工品や雑貨の販売、イベント企画、広報などの業務に加え、奈良のアイテムを集めたオンラインショップ「ならわし narawashi」の運営もしています。実は今年の春に転職をしたのですが、移住当初から携わっている「engawa」の仕事を引き継ぐ形で新しい会社に移りました。

「engawa」の商品たち

ホームシックになりそうだった1年目

初めは同年代の友達が一人もおらず、寂しく、孤独でした。東京にいた頃は会社の同期と仕事終わりに飲み歩く日々でした。移住後は頼れる人、気の置けない友達が全くいなくて。本当は新しいコミュニティに入ることは苦手なのですが、奈良では恥ずかしがったり、避けていたら私という人間を誰にも知られないまま年数が過ぎていくと思い、怖がらずに一人でも交流の場に飛び込んでいきました。

最初の1年は孤独でしたが、2年目から楽しくなってきて。1年目にまいた種が2年目にちょっと芽が出てきて、3年目の今、確固たるものになってきたという実感があります。ホームシックになっても、東京には意地でも帰りたくなかったんです。相当な覚悟をもって単身移住してきたので、生半可な気持ちで帰るという選択肢はありませんでした。

移住して3年が経ちました。良い意味で公私混同しています。仕事相手もクライアントというよりは、一緒にやっている仲間、コミュニティみたいな意識が強く、この人を知っていたらあの人も知っていて、みんなつながっているね、と。人の輪のなかで仕事や面白いことが生まれて、東京の大企業とは違った仕事の仕方だと思います。その流れで「BBQするよ」、「イベントやるから来てね」と誘っていただくなど、プライベートの過ごし方も仕事の延長で生まれてくることが多いです。

木工職人さんと渡辺さん(右)

30歳までは奈良で修業。苦手なことも克服したい

25歳からの生き方で、30、40歳の時の自分の深みが、がらっと違ってくるだろうなと思っていて、自分のなかでは25歳が節目だったんです。もうすぐ25歳になる時、このまま大企業に身を置くよりも、本当にやりたいことに挑戦することにしました。25歳からの2年間は手探りで何かやりまくる。27歳からの3年間は、更に視野を広げて自分に足りない部分を補いたい。
私は企画などは得意なのですが、事業計画とかお金の収支のことを考えるのが苦手なんです。幸いにも今の会社で、そういうことをやらせてもらえるチャンスがあるので、30歳までに、自分で事業を切り盛りできるようなスキルを少なくとも身につけた人間になりたいです。

移住を考えたら現地に何度も足を

いきなり移住して、想像と違った、というのはお金も時間ももったいないです。移住したいなと思っている地域があれば、まずそこに何度も足を運ぶことが一番大事です。
最近はリモートワークが増えたり、クリエイターの方ならどこでも仕事ができるという風潮がありますが、移住希望者がみんなそのような職業についているわけではないですよね。転職を視野に入れるなら、情報収集はしっかりとした方が良いと思います。人のつながりから仕事や住まいが見つかることもあります。先輩移住者には地域おこし協力隊や、移住後に起業した方など、いろんな人がいるので、ロールモデルになりそうな人を見つけて話を聞いてみると良いですね。

明日香村の好きな景色

(※このインタビューはふるさと回帰支援センター発行の情報誌「100万人のふるさと」2021年秋号掲載の内容をWEB用に一部再構成したものです)