移住ストーリー

きっかけさえあれば「普通の女の子でも地方移住できる!」を伝えたい

神奈川県→熊本県山都町
2019年移住
藤本 真美さん
農家、オンラインショップ「きんときまめのはたけ」運営

ワンちゃん4匹と神奈川県で一人暮らし、片道2時間の通勤も何のその、都会でバリバリ働く会社員だった藤本真美さんは「ワンちゃん達とゆっくり暮らしたい!」と2019年に熊本県山都町へ移住しました。
「普通の主婦ですけど?」と笑う藤本さんに、地方暮らしに至るまでのお話をうかがいました。

移住のきっかけとなった一言

社会人になり都内の旅行関係の会社に勤める傍ら、自身も大の旅行好きで、休みが取れれば海外旅行に行っていたという藤本さん。でもペットのマルチーズ4匹を毎回預けるのもお金がかかり大変だったとか。そんな中、国内線だとワンちゃんと一緒に旅行に行けるということを知り、大好きなアニメ『夏目友人帳』の舞台である熊本県の県南に通うように。宿にはテニスコート4面分ほどの広さのドッグランがあり、一緒に行ったワンちゃん達も楽しく過ごしていたそうです。

「宿のオーナーご夫妻とも仲良くなったんですけど、ある日『そんなに何回も来るんだったら、こっちに住んだら?』と言われて。この一言で熊本への移住を意識するようになりました」

大事な家族。お父さん犬の名前が「金時(きんとき)」なので、名付けて「金時ファミリー」!熊本移住のきっかけはこの子達とゆっくり暮らしたいと思ったから

移住活動 自分から動けば、つながる縁

こうして、IT企業に勤めているわけでもなく看護師などの専門技術があるわけでもない、「普通の女の子」の移住活動が始まりました。

「さっそく熊本県での婚活イベントに参加したり、地域おこし協力隊に応募してみたりしましたが、思うように結果は出ませんでした」

それでも積極的に都内での熊本関連のマルシェに参加したり、東京熊本県人会(※)に顔を出したりしているうちに、色々な所で人が人をつないでくれるように。
たとえば現在住んでいる家は、マルシェで出会った山都町の担当者さんが「せっかく熊本に来るなら、家を見学させてあげる」と見つけてくれた家でした。『賃貸』かつ『ペット可』という物件はほぼ無かったため、ワンちゃん達と暮らせるその家に即決。2018年11月に契約、翌年1月にはもう移住と、スピード感を持って動きました。

※東京熊本県人会…首都圏在住の熊本県出身者の親睦を図る目的で設立された団体

移住後に見つかった乳がん

「家も決まったし、田舎暮らしや熊本暮らしを楽しむぞー!」と新しい生活に心躍らせていた藤本さんに、まさかの出来事が。会社を辞める前に受けた健康診断の再検査を熊本市内の病院で受けたところ、乳がんが見つかりました。関東に帰ることも考えたそうですが、せっかくワンちゃん達と暮らすためにやってきた熊本。ワンちゃん達のため、熊本に残って治療に専念することを決意しました。
熊本に来たばかりで無職、さらに病院を受診するには保険証が必要な状況でした。そんな時タイミングよく山都町役場の選挙準備のお仕事を紹介され、役場には病気のことも正直に話した上で採用が決まりました。

それから藤本さんは、熊本に残って週3日役場勤務をしながら抗がん剤治療など壮絶な戦いに一人で臨みましたが、抗がん剤治療が進むなか体調も絶不調に。
「ママ頑張るからね」…ワンちゃん達がいるから負けられない、そんな思いをSNSに投稿すると友人達も応援してくれました。

左:具合が悪い日もワンちゃん達が寄り添ってくれた/右:熊本市内の病院

動けばつながるご縁。運命の出会い

2019年3月から11月まで9か月間におよぶ乳がん治療を克服し、気分も新たに田舎暮らしを再スタートした藤本さん。ある日山都町役場の移住者セミナーにゲストとして参加し、乳がんに罹患していたことを話しました。そして、このことがきっかけで運命が動き出すことに!

「ありがたいことに、セミナーを聞きに来ていた地元のおばちゃんが『なんで言わんだったと?』と心配してご飯を作って来てくれたりお世話をしてくれたりするようになったんです」

徐々におばちゃんや地域とも溶け込むようになった藤本さん。「誰かいい人いないですかね?」と何気なく話したら、このおばちゃんが旦那さん候補を3人も紹介してくれるという展開に!このご縁で藤本さんは運命の旦那さんと出会い、結婚することになりました。

女子で、農業をやってみたいなら、農家のヨメもアリ!?

旦那さんの職業はご家族で営む専業農家。朝5時半には家を出て田畑で汗を流しているそうで、藤本さんも家の家事を済ませ、7時半には合流して収穫や選別、袋詰めなどをお手伝い。

「お昼ご飯はお義母さんが作ってくれてみんなで一緒に食べます。主人の家族には本当によくしてもらい、感謝しています」

仕事を決めずに熊本へ移住しましたが、農業には実は興味はあったという藤本さん。「女子で農業をやってみたいならば農家の嫁になるのも有りかも」と教えてくれました。
関東にいたころは終電近くまで働き、寝るのも遅かったけれど、今は早寝早起きの生活。ワンちゃん達の散歩にも毎朝行き、鮮度のよい野菜や米を食べ、すっかり生活が変化。今は自分の畑で採れた新鮮な野菜等をネット販売も始めました。

左:自分の畑で採れたほうれんの選別/右:ネット販売するお野菜の出荷準備

日本語が通じる外国のつもりで楽しんでほしい

最後にご自身の経験から、移住を考えている人へアドバイスをいただきました。

「人脈を広げるために自分から動いてみることですね。何か小さいことからでもいいと思います。移住を考えたらまずは移住担当者を始めとする行政の人と仲良くなること!お仕事も健康も気にかけてくれるし、支援してくれます。
また、田舎では車の運転は必須だと思います。少なくともここでは運転ができないと生活が難しいかもしれません。熊本の人は『ちょっとそこまで』の距離でも車で行きますから。
それから、よくも悪くも田舎にはプライバシーが無いですが(笑)、同時に見守ってくれているという安心感があります。都会の感覚は忘れて日本語の通じる外国のつもりで生活して違いを楽しむと良いんじゃないでしょうか」

気になるところに遊びに行ったり、マルシェに行ったり、話を聞いたり、友達になったり。
好奇心とほんのちょっとのきっかけがあれば普通の女の子でも移住できる、と語る藤本さん。ライフスタイルを変えたいと思っている方は、まずは、動いてみるといいかもしれません。