熊野古道の魅力が大きく、Iターンが多い
-和歌山県との関わり、また「わかやま定住サポートセンター」で働き始めたきっかけを教えてください。
福岡県北九州市で生まれ、小学校入学のタイミングで和歌山市に引っ越しました。以降は和歌山県内で暮らし、2016年4月に和歌山県庁の職員になりました。2021年4月に異動となり、移住アドバイザーとしてふるさと回帰支援センターに着任しました。
-どんな方が相談にいらっしゃいますか?
地方への移住と聞くと、定年後のセカンドライフみたいなイメージを持たれるかもしれませんが、30~40代を中心に、幅広い年齢層の方が相談にいらっしゃいます。また、家族形態も単身世帯やご夫婦のみの世帯などさまざまです。Iターン希望が多く、観光で来て熊野古道に感銘を受けたことが移住を考えるきっかけになったという方もいらっしゃいます。ゲストハウスを建てて観光業を始めたいという方も珍しくありません。
和歌山県に隣接する、大阪府にあるふるさと暮らし情報センター内にも和歌山県の相談窓口があるのですが、そちらだと勤務先は変えずに住まいだけ和歌山県に移したいという方が多いです。そういう方は大阪に近い、和歌山市や紀の川市や橋本市といった県北部を希望されます。和歌山市から大阪市までは車で1時間くらいなんですよ。一方で、テレワークが可能なら、東京など関東にお住まいでも田辺市や空港のある白浜町など県南部の地域もおすすめです。白浜町は、ワーケーションの先進地としても有名なんですよ。
都市在住者が気づきにくい点を伝える
-日々の相談業務において、気を付けていることはありますか?
「くらし」「しごと」「住まい」の3つの側面について移住支援制度の対象となるかどうかは、丁寧にお伝えするようにしています。条件に当てはまらないので対象外という場合も、あれも駄目これも駄目ではなく、例えば「~して条件を満たしていただくと、お使いいただけます。」というように言い方を工夫して前向きな表現でお伝えするようにしています。相談員である私の対応が和歌山県の印象を左右する可能性もあるので、県の代表という気持ちで相談業務にあたっています。
それと和歌山県の交通手段は車が主になるので、免許の有無は必ず確認しています。また、都市ガスや下水道が全域に整備されているわけではないので、プロパンガスや汲み取り式トイレなどの利用になることもお話しています。地方では当たり前のことですが、都市部の方には想像できないこともあると思うので。
知られざる和歌山の魅力を伝えたい
-和歌山県の魅力はどういったところでしょうか?
黒潮の影響を受けた温暖な気候、海に面したロケーション、面積の8割以上が山地という緑豊かなところ、などです。江戸時代には尾張・水戸とともに御三家と呼ばれた紀州徳川家が治めた場所で、熊野古道や高野山という世界遺産もあります。
それから最近では県南部の串本町では日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」の建設が進んでいて、2021年の秋に完成予定です。また、「紀の国わかやま文化祭2021」と題した「国民文化祭」が、2021年は和歌山県で行われています。
-最後に、移住を考えている方、悩んでいる方にメッセージをお願いします。
関東圏にお住まいの方だと、和歌山県がどういう所かご存知ない方が多いと思います。「有田みかん」の名前を知っていても、和歌山県の名産だとはご存じないのではないでしょうか。実はみかんの収穫量全国トップは和歌山県なんです。まずは和歌山県について知ってほしいと思います。些細な相談事でもかまいませんので、気軽な気持ちでいらしてください。ぜひお待ちしております。
写真提供:公益社団法人 和歌山県観光連盟