移住相談員紹介

あいち暮らし相談センター 移住相談員 黒岩さんインタビュー

愛知県と移住相談者の架け橋になりたい

2021年4月に開設した「あいち暮らし相談センター」で相談員を務める黒岩さん。昔から地域振興の仕事に興味を持っていたという黒岩さんに、日々の相談業務や愛知県の魅力についてお話をうかがった。

恩返しのため、移住希望者から移住相談員へ

-愛知県との関わり、また「あいち暮らし相談センター」で働き始めたきっかけを教えてください。

愛知県との関わりは、大学卒業後に名古屋の放送局に就職したのが始まりです。学生時代から地域に根差した仕事に興味があり、地域密着のバラエティー番組を作りたくて放送業界に就職しました。スポーツディレクターや地域活性イベントの運営など、東海3県に根ざした仕事を幅広く経験できました。地元の特産品を集めたマルシェでは、地域に愛されている喫茶店の出張コーヒースタンド、行列ができる鬼まんじゅう屋さん、高校生が地元和菓子店と共同開発したどら焼きなど、どれもが地域の温もりを感じるものばかりで、一緒に手作りでイベントを作り上げる空気がすごく心地よかったのを覚えています。

仕事にはやりがいを感じていましたが、40歳を過ぎて人生折り返しに差し掛かったタイミングで、新しい世界に身を投じてみたいと考え、18年間お世話になった放送局を退職しました。地域に根ざした仕事をやりたいという思いを持ち続けていて、全国各地の地方創生や地方移住に関するオンラインセミナーに参加していました。
偶然ですが、セミナーを開催しているふるさと回帰支援センターのホームページを見ていたら、愛知県が移住相談窓口を新たに設置し、相談員を募集していることを知りました。それまでは、地域の活性化に貢献するには自らが移住するという発想しかありませんでしたが、相談員の業務内容を見て、移住希望者と迎え入れる自治体の橋渡しをする仕事も地方を元気にすることにつながるし、すごくやりがいがあるのではと思ったんです。しかも、愛知県の相談員。長年お世話になった地域に恩返しができると思い、2021年の4月に開設したばかりの「あいち暮らし相談センター」で相談員を始めました。

前職時代に携わった「台湾×珈琲×マルシェ×音楽フェス」の様子(2019年)

暮らしやすさを知る人のUターン移住が多い

-どんな方が相談にいらっしゃいますか?また、どういった相談が多いですか?

愛知県への相談者はUターンが多いと感じます。高校生や大学生の頃まで愛知県に住んでいて、就職や進学を機に首都圏に移り、ふるさとの愛知県の暮らしやすさを再認識し戻って来るというパターンです。30代前半から50代が中心で、お子さんの就学やご両親の介護など、生活環境を変えるタイミングで移住を考える方が多いですね。コロナ禍でなかなか実家に帰省できなくなり、なるべく実家から近いところに移住したいという方もいらっしゃいます。
一方で、10月に開催したふるさと回帰フェアで愛知県ブースに相談に来られた方は、実に7割がIターンの方でした。話を聞くと、愛知県は名古屋を中心とした都会のイメージが強く、自然に囲まれた田舎暮らしができる地域があることを知らなかったという声が多かったんです。愛知県でも豊かな自然に囲まれた暮らしができることを発信して、一人でも多くの方にその魅力を知ってもらい、選択肢の一つに入れていただきたいなと思います。

また、移住した先で就農や家庭菜園をやりたいという方も多いと感じます。コロナ禍でおうち時間が増え、自宅のベランダで家庭菜園を始めた方が増えたそうですが、もっと広い所でやりたいということで、広い庭がついた古民家を探されている方もいますね。空き家をリノベーションして、ゲストハウスやカフェ、雑貨屋を始めた移住者の方もいらっしゃいますし、移住された方が地域を元気にしている話を聞くと嬉しくなります。

新緑が美しい、初夏の桜淵公園(新城市)

やりたいことだけでなく、NG項目のリストアップも大事

-相談業務において、気を付けていることはありますか?

当たり前の話ですが、移住の目的をしっかり聞くようにしています。「具体的にどんな暮らしをしたいのか」「その暮らしは、いま住んでいる環境では実現できないことなのか」といったことを丁寧に伺い、その人がどれだけ明確な意志やイメージを持っているか見極めます。そのために、移住先でやりたいことだけでなく、NGなことも聞くようにしています。虫が苦手だとか、近所にコンビニがないとダメだとか、濃い人間関係は苦手だとか、人によっていろいろあるでしょう。でも、田舎暮らしでは避けられないこともあります。
だから、叶えたい暮らしや理想の条件と併せて、NG項目もリストアップしてもらい、優先順位をつけてもらうことが大事だと思います。あらかじめ条件を整理しておくことで、苦手なことも受け入れて頑張ろうと覚悟が決まったり、逆に頑張れそうもないので思い留まったり。良いところだけを見て飛びついて、移住した後にミスマッチに気付いて後悔することだけは避けてもらいたいです。

逆に、苦手なことやNGだと思っていたことが、実際に現地を訪問したり、地域の人と話したりすることで、実はそこまで大きな問題ではなかったと気づくこともあります。時間をかけて、一歩ずつ、地域のことだけでなく自分を知ることも大事だと思います。

愛知は多彩な産業がバランスよく発展

-愛知県の魅力はどういったところでしょうか?

愛知県は個性が強いように見えて、いろいろな文化が混ざり合ったバランスのいい地域だなと思います。基幹産業の自動車や航空宇宙、ロボット、繊維、陶磁器など、様々なモノづくり産業が集まった日本トップクラスの製造業を誇りますし、名古屋という大都市があるため商業も盛んです。さらに農業の産出額は全国8位で、菊をはじめバラや洋ランといった花きの産出額は日本一です。名古屋めしや喫茶店のモーニングサービスといった独特な食文化、信長・秀吉・家康の三英傑を生んだ歴史文化もあります。とにかく、愛知県はいろんな産業や文化がバランスよく詰まっている場所だと思います。私も愛知県に住んでいた時には、あんかけスパや台湾ラーメンなど、とことん名古屋めしにお世話になりました。

それと、都市と田舎が程よく入り混じっているところも魅力です。名古屋の中心部には高層ビルや商業施設が建ち並んでいますが、少し離れれば緑も多く、のどかな田園風景が広がります。愛知県全体を見渡しても、鉄道の沿線にバランスよく地方都市が点在していて、その周りを程よい住宅地や田舎が取り囲んでいます。道路や公共交通機関が発達していますので、豊かな自然に囲まれた田舎暮らしを楽しみながら、都市部に通勤する生活スタイルも可能です。

交通アクセスが格段に向上。山深い地域も移住先に

-最近の愛知県ではどんな動きがありますか?

愛知県東部の三河山間地域が少しずつ変わりつつあります。少子高齢化の課題を抱える地域ですが、2021年10月に新城市の「道の駅 もっくる新城」に高速バスの停留所が新設され、東京や大阪からダイレクトで新城市へ行けるようになりました。さらに、2027年には「リニア中央新幹線」の開業が予定されていて、新しい駅ができる長野県飯田市の南側に位置する三河山間地域へのアクセス時間が短縮されます。愛知県を挟んで長野県飯田市と静岡県浜松市を結ぶ三遠南信自動車道も、開通区間が徐々に広がってきています。高速バス、高速道路、そしてリニア中央新幹線の拡充により、あいちの山里エリアが一段と身近な場所になります。豊かな自然、美味しい食材、温泉が楽しめるので、今後増えていくテレワーク移住やワーケーションの候補としても魅力的なエリアだと思います。
実はこの地域にはすでにたくさんの移住者がいらっしゃいます。ドイツでパンの修行を積んで豊根村でパン屋を始めたご夫婦、沖縄県から東栄町に移住してゲストハウスを運営している女性、設楽町の自然を再認識しUターンして木と革を使った工房を始めた方など、みなさん思い思いに山里での暮らしを心から楽しんでいらっしゃるなと感じます。

また、愛知県には「佐久島」「篠島」「日間賀島」の3つの離島があります。それぞれ違った文化や特色がありますが、どの島も新鮮な魚介類や豊かな自然、温暖な気候が魅力で、島外の方が楽しめるイベントを開催しています。移住は勿論、二拠点生活の候補地としてもご案内していきたいです。

-最後に、移住を考えている方にメッセージをお願いします。

地方への移住やふるさと回帰を希望する人は、これからもっと増えていくと思います。たくさんの新しい出会いを生んでくれる移住は、人生のターニングポイント。相談者がそれぞれに思い描く暮らしに耳を傾けながら、その思いを実現できる条件や場所を一緒に探していく。相談者と愛知県をつなぐ架け橋になれればと思います。
漠然と移住を考えているという方もお気軽に相談窓口にお越しください。そして、コロナが落ち着き安心して都道府県をまたぐ移動ができるようになったら、ぜひ愛知県を訪れて、その魅力に触れて欲しいなと思います。

三河湾に浮かぶ離島・篠島にある「太一岬・キラキラ展望台」

あいち暮らし相談センター 移住相談員

黒岩

プロフィール

生まれは福岡県福岡市。高校卒業まで福岡市内で暮らし、大学進学を機に神戸市へ。地域を元気にする関西のお笑い番組に刺激を受け、卒業後はテレビ業界へ就職。名古屋の放送局に18年間勤務し、報道・スポーツの現場、広告営業、イベント業務に従事。2021年6月より「ふるさと回帰支援センター」内の「あいち暮らし相談センター」にて相談員をつとめる。

相談員から一言

愛知県と言えば、世界のトヨタを中心とした「モノづくり」産業、きしめんや味噌カツといった独特な食文化の「なごやめし」、織田・豊臣・徳川の三英傑を輩出した歴史文化のイメージですが、それだけでありません!日本三大都市の名古屋市に加え、三河の山間地域や佐久島・日間賀島・篠島の愛知三島など、自然が豊かで魅力的な地域もあります。都市と田舎を兼ね備えたハイブリッドな愛知県で、これまで暮らしてきた地域にはない、新たな出会いをサポートいたします。